この記事の目次
胸の筋トレの王道!ベンチプレスで鍛えられる大胸筋
胸の筋トレと聞いて、皆さんが連想する運動としてベンチプレスが思い浮かぶのではないでしょうか?
男性はとくに、厚い胸板を作るためにベンチプレスを選択する人が多いのではないでしょうか。ベンチプレス以外にも、ジムに設置されているチェストプレスのマシンを熱心に押している方はよく見かけます。
ベンチプレスで肩の痛み・ケガが起こりやすい!?
ベンチプレスで鍛えられる大胸筋は効果を感じやすい部位であり比較的、動作もシンプルなため、オーバーワークになってしまうことも多いです。
効果を感じやすく、取り入れやすい種目であるがゆえにオーバーワークからくるケガが発生しやすくなります。
また、ベンチプレスは単純な動作ではありますが、関連して動作する肩関節は可動域が柔軟で・可動が広範囲に及ぶ部位。ほかの関節より不安定な部位でもあり、誤ったフォームで高負荷によるベンチプレスを繰り返していることでもケガが発生しやすくなります。
実際にベンチプレスで肩を痛めてしまった経験がある人は少なくないのではないでしょうか。筆者もその一人です。
この記事では、肩のケガを防ぎ、より効果的にベンチプレスを実施するために大切な筋肉とエクササイズについて解説していきます。
ケガの予防に大切なローテーターカフとは!?
ローテーターカフを構成する筋肉部位
ここではローテーターカフを構成する筋肉部位とその働きについてご紹介していきます。
ローテーターカフとは回旋(ローテーター)カフ(取り囲んでいる)という意味からそう呼ばれています。構成する筋肉は下記の通りです。
棘上筋(Supraspinatus)
主に上腕骨を外旋(外回し)外転(横に挙げる)動作を行います。肩甲骨棘上窩から始まり、上腕骨の大結節に停止しています。
棘下筋(Infraspinatus)
棘上筋と同様に外旋と外転に作用します。肩甲骨棘下窩から始まり、上腕骨の大結節に停止しています。
小円筋(Teres minor)
上腕骨の外旋と内転(腕を体に近づける)に作用します。肩甲骨の外側から始まり、上腕骨の大結節に停止します。
肩甲下筋(Subscapularis)
上腕骨の内旋(内回し)に作用します。肩甲骨と肋骨の間(肩甲下窩)から始まり。上腕骨の小結節に停止します。
詳しく知りたい方は動画からもどうぞ。
このように、ローテーターカフを構成する4つの筋それぞれの役割は、上腕骨を回旋させるための働きを持っています。
しかし、動作中にローテーターカフのみが働くことはなく、筋力自体も弱い筋肉です。
ローテーターカフの重要な役割は、肩関節がスムーズに動くための補助的な役割、そして、上腕骨が肩甲骨から外れないように安定させておく役割を担っています。
ローテーターカフの機能がしっかりと発揮されていると、肩のケガを予防する事ができます。とくにベンチプレス中でのケガの発生を予防したり、効果を高めたりするにはこのローテーターカフの働きが非常に重要な役割を担っています。
ローテーターカフのエクササイズ・ストレッチ方法
自宅でできるストレッチ方法
ローテーターカフを構成する筋群のうち、3つ(棘上筋、棘下筋、小円筋)が肩の外旋運動に作用しています。
自宅などでストレッチを行う際は、主にこの外旋筋群を対象とした内旋方向へのストレッチ(身体の前方向に軽く引っ張る)を行なってください。
以下の動画を見ていただくとよくわかります。
※内旋方向にストレッチをする際、背筋を伸ばしましょう。背中が丸まったり、肩甲骨が動かないように意識してください。
ダンベルを使ったエクササイズ方法
ダンベルでのエクササイズは自由度が高く、ささまざまな回旋運動を行う事でローテーターカフへの刺激を加える事が出来るので、エクササイズのバリエーションが多いです。ダンベルを使ったローテーターカフは体の傾きや位置が非常に重要です。
まずは、動画にあるフォームをしっかりと再現しましょう。この動画で紹介されるダンベルエクササイズをマスターすれば、だいぶローテーターカフに安定性が出てくるはずです。筆者もベンチプレスの日は一部取り入れています。
※ローテーターカフにしっかりと刺激を入れるために、動作中に肩をすくめたり、体幹の屈曲伸展運動が出ないように注意してください。
※自由度が高く、重いダンベルを使うと負荷が他の部位にかかってしまうこともあります。1kgなど、ごく軽い重量のダンベルで動作を確認し、慣れてきたら1kgずつ上げて行うようなイメージで問題ありません。
ゴムチューブを使ったエクササイズ
ゴムチューブでのエクササイズの利点は、常にゴムの張力がローテーターカフに対してかかるので、ダンベルよりもバリエーションは少ないですが、しっかりと筋肉を刺激し負荷をかけたい時には非常に有効です。
※エクササイズ開始位置でゴムに緩みがなく、少しでもいいので張力がかかっている状態からスタートしてください。ゴムが緩んでいると初動で負荷がかかりません。
また、ゴムを引っ張る動作、元の位置に戻す動作は反動で行わず、各1秒ずつはかけて行うようにしましょう。
器具を使わずできるエクササイズ方法
ローテーターカフは器具がなくてもエクササイズが可能です。
意識としては、エクササイズというより肩の可動性を向上させることを意識してください。
ローテーターカフ鍛えるタイミング
ケガの予防のために上記のトレーニングを行うことが大切なのですが、やみくもにエクササイズ実践していても効果は現れにくいです。
ローテーターカフは重要な筋群ですが、筋肉自体は小さく、とても疲労しやすい部位のため鍛えるタイミングも重要です。
筋トレ前
筋トレ前は、肩の安定性を高めるためにローテーターカフを刺激しておくというようなイメージで行いましょう。回数や負荷は通常のエクササイズと変えずに、1~2セットだけ行ってください。
そうすることで、ローテーターカフの機能が高まりベンチプレスによるケガを防止する効果があります。エクササイズとしては、器具を使わずに行う運動からチューブ、ダンベルでのエクササイズへと移行するべきでしょう。
筋肉への刺激と安定性を高める事に重点を置いてウォーミングアップとして取り入れてみてください。
※静的なストレッチを長時間行い過ぎると、ベンチプレスなどメイン種目での挙上重量やレップ数などの総負荷に影響が出る可能性があります。
筋トレ後
ベンチプレスなどのメインの筋力トレーニングが終わった後に、ローテーターカフの強化という位置づけで取り入れる方法もあります。
このタイミングでは、通常の負荷またはより軽い負荷で3セットほど、しっかりとエクササイズしてください。
ダンベル→チューブの種目できっちりと筋肉に負荷を与えて、その後器具なしの種目で可動域を広げるように行い、最後はストレッチで筋肉をリラックスさせて回復を促すのがいいでしょう。
このように筋トレ前後で負荷とセット数とエクササイズの順番を使い分けて、肩の安定性強化をはかる事でベンチプレスによるケガを予防しましょう。
まとめ
- ローテーターカフは、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋から構成される
- 上腕骨の外転・内転・外旋・内旋動作に寄与する
- 特に外転・外旋動作のストレッチを大切に
- ベンチプレスなど、高負荷で関連筋群を使う種目前後でストレッチを取り入れよう
ベンチプレスで発生するケガの要因として、ローテーターカフを構成する筋群の機能低下は比較的多いです。ベンチプレスで大胸筋に負荷を与えると同時に、肩関節には強い負荷がかかりやすいためです。
今回説明したローテーターカフ機能とエクササイズを理解し、ベンチプレスとセットで行なっていく事をオススメします。