引き締まったカラダを作るためには、筋トレだけでなく余分な体脂肪を減らすための有酸素運動も欠かせません。有酸素運動をしっかり理解することで、カラダを効率よく変えることができるのです。
今回は有酸素運動の基礎知識とともに、色々な有酸素運動のポイントや最新の有酸素トレーニングについて紹介します。
この記事の目次
- 1 有酸素運動とは?
- 2 有酸素運動で痩せること(除脂肪)はできるのか?
- 3 レベルに合わせた有酸素運動
- 4 高負荷!タバタトレーニング・HIITとは
- 5 タバタ式トレーニングのプログラム一例
- 6 暗闇フィットネス「b-monster」は究極のエンタメ・有酸素・無酸素・ストレス発散の融合
- 7 続けられる有酸素運動を、生活の一部に取り入れよう
- 8 まとめ
有酸素運動とは?
そもそも有酸素運動とはどのような運動なのでしょうか。有酸素運動の効果を最大限に高めるためには、有酸素運動についての知識を高めておく必要があります。
有酸素性運動・無酸素性運動は何が違うのか?
運動は大きく分けて「有酸素運動」と「無酸素運動」に分けられます。
有酸素運動の代表的な種目といえば、ウォーキングやジョギング、水泳、エアロビクスなどです。無酸素運動の代表的な種目には、ウエイトトレーニングや重量挙げ、短距離走などが挙げられます。
これらを分けるポイントは、“酸素の利用”と“使用されるエネルギー源”です。
– 酸素の利用有無
有酸素運動と無酸素運動は、カラダを動かすエネルギーの生成をする際にその名の通り酸素を利用しているのか利用していないのか、という違いにあります。
有酸素運動の種目を見てみると、どれも長時間動き続けることができる運動です。
これは体内の脂肪を燃焼させることで、カラダを動かすエネルギーである「ATP(アデノシン3リン酸)」を次々と作り出す「酸化機構」というエネルギー回路を使用しているからです。その際に必要なのが“酸素”なのです。
一方、無酸素運動は有酸素運動のように長時間動き続けるというのではなく、瞬間的に大きな力を発揮する運動のことをいいます。エネルギー生成に酸素を必要としないで行う運動のことをいいます。
– 使われるエネルギー源
まずはじめに説明しておきたいのが、カラダを動かすにはATPが分解された際に発生するエネルギーを使用しているということです。これは有酸素運動でも無酸素運動でも同じことです。
※ATP構造
しかし、このATPは体内に貯めておくことができないません。厳密には筋に貯蔵されていますがごくわずかのため一秒~数秒で枯渇してしまいます。そのため、その他のエネルギー源を使いながらATPを再合成し生成し続ける必要があるのです。
長時間動き続ける有酸素運動を行う際の主なエネルギー源は脂質です。正確にいうと、運動開始直後は血中にある脂肪酸がエネルギーとして使われます。(脂肪酸がミトコンドリア内に取り込まれ、TCA回路などによって酸化した際にATPを生成する)
血中の脂肪酸が少なくなってくると、カラダに蓄積されている体脂肪が分解され脂肪酸に変化し血中に流れ込むというサイクルでエネルギーを生成し続けます。
有酸素運動が体脂肪の減少に効果的であるといわれるのは、この仕組みによって脂肪が燃焼されるためです。
一方、無酸素運動のエネルギー源は、脂肪よりも血中のグルコースや筋肉内の糖質(グリコーゲン)が主に使われています。
まとめるとこんな感じですね。
タイプ | 主な運動 | 主に使うエネルギー源 |
---|---|---|
有酸素運動 | ウォーキング・ジョギング・水泳 | 脂質 |
無酸素運動 | ウエイトトレーニング・重量挙げ・短距離走 | グリコーゲン(糖質) |
有酸素運動で痩せること(除脂肪)はできるのか?
除脂肪(健康的なダイエット)を目的とした有酸素運動のコツ
有酸素運動の効果を高めるためのコツを紹介します。
– 栄養補給前(朝や食事前)がオススメ
有酸素運動を行うタイミングでオススメなのが、朝食前です。食事前などの空腹時は体内の糖質が少なくなっている状態なので、体脂肪がエネルギーとして使われやすいからです。
また、朝は時間を作りやすいというのもポイントの一つです。夜などは何かとスケジュールが入りやすく、せっかく運動しようと思っていたのに用事ができてしまってできなかった…ということが少なくありません。その点朝であれば、急なスケジュールが入ることなく計画通り行いやすいといえます。
– できれば30分程度は続けられる有酸素運動で内臓脂肪の燃焼を促す
運動のエネルギー源については仕組みを紹介しました。前述の通り脂肪酸は運動直後から燃焼されていますが、体内蓄積されている体脂肪が燃焼するまでには少し時間がかかります。
その為、体脂肪をしっかり減らしたいというのであれば、30分以上は有酸素運動を行った方がよいでしょう。
朝やるのであれば、まず5分程度いつもの歩行ペースで歩き、目が覚めてきたら早歩き。メトロノームの110~120のペース(1秒に2歩弱)を目指してみましょう。
– 最大心拍数・目標心拍数を意識する
効率よく脂肪を燃焼させるなら、運動中の心拍数を目安にするとよいでしょう。
脂肪燃焼のための参考となる心拍数の目安は、最大心拍数から計算するものと、カルボーネン法から計算する方法があります。
●最大心拍数から簡単に計算する場合
一般的に最大心拍数は 220 – 年齢 と言われていますが、実はその計算方法に科学的根拠は示されていません。
そこで、数多くのデータから検証された方法である【208‐0.7×年齢】という方法で計算してみましょう。
たとえば、30歳の場合は 208 -(0.7×30)= 187 です。
有酸素運動でダイエットの効果を出しやすいのは、最大心拍数の60%程度と言われていますので
187 × 0.6 = 112
112前後の心拍数が効果的であるといえます。
信号待ちに差し掛かったら、脈に手を当ててみるなどして心拍数を測ってみましょう。
※もちろん、心肺機能・トレーニング経験等により個人差があります。
【参考】
Age-predicted maximal heart rate revisited – Hirofumi Tanaka, Kevin D Monahan and Douglas R Seals
http://www.bbm-japan.com/_ct/17111337
●カルボーネン法を使用した目標心拍数
効果的に脂肪が燃えるとされる“目標心拍数”は、
(最大心拍数 − 安静時心拍数)×運動強度+安静時心拍数
というカルボーネン法で計算することができます。
安静時心拍数は、平常時に手首の脈を10秒間測定し、その数を6倍するだけなので簡単です。
運動強度には、体力がある人は 0.5 ~ 0.7 、体力のない人は 0.4 ~ 0.5 を入れて計算しましょう。
たとえば、30歳で安静時心拍数が60の場合は
( 187 – 60 )× 0.5 + 60 = 123
123前後の心拍数で運動を続けるといい計算です。
※もちろん、心肺機能・トレーニング経験等により個人差があります。
上記の2つの計算を踏まえ、だいたい110~125くらいの心拍数が30歳で除脂肪を目指す人には効果的ということです。
もちろん、体力・体格・性別など他の要素も関わってきますので、必ずその数値でなくてはいけないということではなく、あくまでも参考として活用するとよいでしょう。
筋肉を増やす(減らさないこと)・食事を管理することと並行し効果倍増
痩せたい!と思って有酸素運動を行う人の中には、極端に食事制限を行う人もいますがそれはオススメできません。しっかり食事をとらないと、脂肪だけでなく筋肉も減らしてしまうからです。
あくまでも減らすのは脂肪であり、筋肉を減らしてしまうことでリバウンドのリスクも高まります。そのことを十分頭に入れ、筋肉を減らさないように食事をコントロールするようにしましょう。
食事に関する情報はこちらもどうぞ
プロテイン(たんぱく質)の筋肥大効果・プロテインの種類(WPC・WPI・CFM・WPH)それぞれの説明・筋トレ後に摂取すべきタイミング。おすすめのプロテイン・シェイカー
レベルに合わせた有酸素運動
ここでは色々な有酸素運動について、やり方や注意ポイントを解説します。
早歩き気味、テンポを意識したウォーキング
– やり方の概要
もっとも手軽で、誰でもできる有酸素運動といえばウォーキングです。
ウォーキングによる効果を高めるためには、歩くスピードが重要です。
姿勢悪く、ダラダラと歩いているのでは時間がもったいないです。早歩きを意識してテンポよく歩くとよいでしょう。
日常生活でも取り入れやすいので、通勤時や買い物時などでも乗り物に乗るよりも歩くことを意識するとよいでしょう。
– 気をつけること、ケガ防止のために
歩き方にも注意が必要です。背筋をしっかり伸ばして姿勢を正し、大股で歩くように意識しましょう。しっかり姿勢を正し大股で歩くことで、臀部や脚など多くの筋肉を刺激することができます。
お腹に力を入れるように意識しながらウォーキングするのも効果的です。
– 参考動画
ジョギング&ランニング
– やり方の概要
ウォーキングに慣れてきて、心拍数を上げるために運動強度を高めたいという場合は、ジョギング&ランニングを行いましょう。
目標心拍数を目安にして、走る速度を調整するようにしましょう。
ジョギングやランニングを継続させるコツは、目標を立てることです。
マラソンや皇居ラン・トレイルランが盛り上がっているの影響もあり定期的にマラソン大会が開催されていますので、大会出場を目標にしてみてはいかがでしょうか。3㎞や10㎞から始め、ハーフマラソン、最終的にはフルマラソンに…というように目標を段階的に高めていくとモチベーションになるでしょう。
フルマラソンまで挑戦できるようになれば、身体も健康になっていることでしょう:)
– 気をつけること、ケガ防止のために
始めたばかりの時は長時間続けて走るというのが辛いかもしれません。その場合は1分走って2分歩くというように、途中途中で休憩を取りながらやってみてください。慣れてきたら2分走って2分歩く、5分走って2分歩くなど、徐々に走る時間を長くしていくようにしましょう。
ウォーキングに比べ脚の故障リスクが高まります。しっかりウォーミングアップ・クーリングダウンを行うとともに、痛みがある場合には無理をせずペースを落とすなど配慮するようにしましょう。辛いようであれば一定ペースの早歩きに切り替えることをオススメします。
– 参考動画
水泳&水中ウォーキング
– やり方の概要
関節の痛みなどでウォーキングやジョギングなど陸上の運動に不安があるという人は、プールで運動を選いましょう。
水中での運動は浮力により関節への負担が大きく減りますし、水の抵抗によって全身に適度に負荷がかかります。水中ウォーキングのようなゆっくりした動作でも15分間で約50kcal~70kcalと消費カロリーが多く、早足でウォーキングしたときと同じくらいになります。どんな動作にも抵抗がかかり、全身の筋力向上も期待できます。
また、水圧によるリラックス効果が期待できるのも、水中運動のメリットの一つです。
水中運動には水泳の他、水中ウォーキングやアクアビクスなどがあります。体力や好みに合わせて運動を選びましょう。
– 気をつけること、ケガ防止のために
水泳で脂肪燃焼効果を高めるには、少し工夫が必要です。水泳の場合、泳ぎがうまくなればなるほど、あまりエネルギーを使わずに泳ぎ続けられるようになります。そのため、運動時間を長くしたりスピードを速くし意識的に疲れるようにする必要があります。
また、浮力によって負荷が少なることで、膝のケガ可能性などは格段に下がります。逆に陸上運動で得られる効果の一つである骨粗鬆症予防などの骨の強化にはあまり効果がありません。
運動に慣れてきたら、陸上での有酸素運動と組み合わせながら行うとよいでしょう。
– 参考動画
縄とび・エア縄跳び
– やり方の概要
子どもの頃、体育の授業で行った「縄跳び」も、効果的な有酸素運動です。
難しい跳び方は必要ありません。普通の一重跳び(前跳び)を一定のリズムで行うようにしましょう。
縄跳びを持っていない人は、縄跳びを持っているようにジャンプするエア縄跳びでも大丈夫です。
エア縄跳びなら室内など狭いところでもできます。
高くジャンプするように心がけると強度が高まります。
スムーズに気持ちよく跳べる縄跳び
室内でもできるエア縄跳び
– 気をつけること、ケガ防止のために
縄跳びを跳ぶ際、常に爪先立ちになって跳ばないように注意しましょう。
つま先立ちで着地すると、ふくらはぎの筋肉や足の裏の筋肉が引き伸ばされながら力を発揮して体重を支えます。この動作は筋肉痛が出やすかったり、足の痛みを引き起こす場合があります。
また、ジャンプは着地の衝撃で足腰にかかる負担が大きい動作です。膝をうまく使って衝撃を少なくし、柔らかく着地しましょう。一重跳びに不安があるのであれば、片脚ずつ跳ぶ駆け足跳びの方をオススメします。
– 参考動画
踏み台昇降
– やり方の概要
室内で行える代表的な有酸素運動が、踏み台昇降運動です。「右足上って・左足上って・右足下りて・左足下りて」を繰り返すだけの簡単な運動のため、だれでも手軽に行うことができます。
台の高さを調整したり、上り下りのリズムを速くするなどよって運動強度を調整しましょう。腕をしっかり振るなど、上半身も動かすとより効果を高めることができます。
踏み台は専用のステップ台を用意する必要はありません。低めのイスや本・雑誌を積み重ねた物、階段などなんでも代用できます。
テレビを見ながらや音楽のリズムに合わせて行うと時間の経過も早く感じます。
心拍数を高めるためにCM中はできるだけ早いテンポで行うなどの工夫をすると、効果的です。
高さ調整できる安定した踏み台があると便利です。
– 気をつけること、ケガ防止のために
ステップ台を代用する場合は、安定性をしっかり確認しましょう。台に上るときにつまずいたり、代から下りるときに台がずれてしまっては思わぬケガの原因になります。
また、台が高すぎて上り下りがキツすぎると、動作が遅くなり有酸素運動ではなく筋トレになります。リズムよく上り下りできる高さの台を使用しましょう。
– 参考動画
サイクリング&エアロバイク
– やり方の概要
自転車での有酸素運動は地面に足をついた時の衝撃がないため、ウォーキングやジョギングに比べ膝や足首などの関節にかかる負担が少なく、体重が過度に重い人や関節の痛みに不安がある人にオススメです。
わざと重いギアで漕いで脚や臀部などの筋肉を鍛えたり、軽いギアで回転数を多くすることで心拍数を増やすなど、目的に合わせた工夫をするとさらに効果的です。
室内で自転車運動を行うならエアロバイクが必要です。エニタイムフィットネス等のマシンジムにも並んでいますしだいたい1台は空いてます。
時間があるときは負荷を軽くして長時間、忙しく時間があまり取れないときは負荷を重くして短時間でハードになど、専門機器のため細かい負荷設定を調整することができるのは大きなメリットです。
エアロバイクの機器がないとできませんが、テレビや本を見ながらできるのは継続するうえでプラスになります。
– 気をつけること、ケガ防止のために
サイクリングはウォーキングやジョギングなどに比べると、運動強度が低めです。その分時間を長くして行うとよいでしょう。電動自転車は使えません。負荷が軽くなり脂肪燃焼効果が低くなってしまいますので注意が必要です。
エアロバイクも軽すぎる負荷で行うとあまり意味がありません。軽く汗をかくくらい適度にカラダに負荷がかかる設定で行うようにしましょう。
なるべく足の裏にかかる力が、ひと漕ぎ1周、一定の漕ぎ方が理想。
– 参考動画
エアロビクス
– やり方の概要
一人では有酸素運動が続かない…という人は、音楽に合わせて踊ったり筋トレしたりなど、みんなで一緒に楽しみながらできるエアロビクス(ダンス)を行いましょう。
エアロビクスのメリットは、プログラムがしっかり作られているということです。ただ踊っているだけでなく、全身をくまなく鍛えられるような専門のプログラムになっています。
ダンス系・コンバット系など様々な種類がありますので、体力や自分の好みに合って楽しくできるものを選ぶとよいでしょう。
DVDを使えば、自宅でもエアロビクスができます。リズム感覚がない…とか、間違ったら恥ずかしい…と思って躊躇している人は、まずは自宅でDVDを見ながら一人で行ってみましょう。自宅なら人目も気にならず、自分の好きなタイミングで、自分の好きな時間行うことができます。Youtubeに多くの動画も公開されています。
– 気をつけること、ケガ防止のために
エアロビクスもウォーキング同様、軽すぎる負荷設定では効果が高くありません。エアロビクスも慣れてきたらどんどん難しいプログラムやハードなプログラムにチャレンジするようにしましょう。
– 参考動画
ボクササイズ
– やり方の概要
ボクシングの動作を取り入れたエアロビクスがボクササイズです。ハードな運動量で短時間で消費カロリーが多いプログラムが特徴です。
上半身の動作が多く、上半身の引き締め効果にも最適です。最近ではサンドバックを叩くボクササイズもあり、ストレス発散になると評判です。
より強度を高めるプログラムには、キック動作を入れるキックボクササイズもあります。
エアロビクス同様自宅でDVDを見ながら行うこともできます。
– 気をつけること、ケガ防止のために
パンチ動作やキック動作、ステップなど様々な動きを行いますので、広めの場所で行う方が動きやすく安全です。
一つ一つの動作を大きくすることを意識すると、強度が高まります。
– 参考動画
高負荷!タバタトレーニング・HIITとは
皆さんはタバタトレーニング(TABATA PROTOCOL)やHIIT(High Intensity Interval Training)をご存知でしょうか?
トレーニング業界では一つのブームとなっていますが、一般の人にはまだなじみがないかもしれませんね。しかしこのプログラムがすごいのです!
参考書籍
タバタトレーニング(TABATA PROTOCOL)・HIITとは?
タバタトレーニングは海外で爆発的に人気が高まったトレーニング方法で、その方法が日本でも広まり人気が高まってきました。
タバタトレーニングと聞くと日本人の名前みたいですよね。そうです、実はこのタバタトレーニングは立命館大学スポーツ健康科学部 田畑泉教授が発表した論文が元になっているのです。
タバタトレーニングは、ハードな運動を20秒間行い休息10秒を挟みながら6~7セット行うという方法です。
タバタトレーニングのようにハードな運動と休憩を短時間に交互に連続して繰り返す方法をHIITと呼びます。この運動&休憩の組み合わせが、効果を出すポイントです。
有酸素で痩せるというより、超短時間の集中型で「最大酸素摂取量」を高めて身体能力を高めるトレーニング
一般的に脂肪燃焼効果が高いことで取り上げられることが多いタバタトレーニングですが、最大の特徴は痩せるということではなく、“最大酸素摂取量”を高める身体機能向上のためのトレーニング方法なのです。
最大酸素摂取量とは、簡単に言えば持久力があるかないかを示す数値のことです。
最大酸素摂取量が多ければ優れた心肺持久力を発揮することができます。アスリートの中でもとりわけ継続的な持久力が必要なサッカー・バスケットボール等の選手でHIITを取り入れているひとは少なくありません。
この激しい運動に耐えた結果として、有酸素運動能力が改善し、代謝も上がる期待値も十分にあります。忙しい社会人にもオススメ。
瞬発的な力を発揮する「最大酸素借」
運動を始めてから酸素を取り込み有酸素性エネルギー機構が働きだすまでには時間がかかります。そのためはじめのうちは無酸素性のエネルギー機構(酸素を必要としない)からエネルギーを“借りて”賄っているのです。この借りているエネルギーのことを「酸素借」といいます。
無酸素性運動の能力は、個人個人の「最大酸素借」によって測ることができます。
最大酸素借が大きければ、無酸素性のエネルギー供給系の能力が高いということです。
この酸素借には個人差があり、トレーニングによって強化することができます。タバタトレーニングのような短時間・高強度の運動を行うことで酸素借の能力を向上させ最大酸素借を増やすことができるのです。
有酸素性・無酸素性の両方を持つトレーニング
タバタトレーニングは、有酸素性と無酸素性の両方の能力を一度に鍛えることができるトレーニングです。
研究では、タバタトレーニングとさらに強度が高い無酸素性運動、有酸素運動を比較・検証されています。
その結果、タバタトレーニングと無酸素性運動では無酸素性能力を鍛える効果は同じだが、有酸素運動能力はタバタトレーニングの方が高いという結果になっています。
また、タバタトレーニングと有酸素運動では、有酸素性能力の向上率は同じだが無酸素性の能力はタバタトレーニングの方が高いという結果が出ています。
その結果を踏まえ、タバタトレーニングは有酸素性・無酸素性どちらも向上する合理的なトレーニングであると結論付けられています。
6~8セットで最大心拍数の90%程度まで追い込むことを目標に
タバタトレーニングの効果を得るためには、動作をただ行えばいいという訳ではありません。6~8セット行われる動作で疲労困憊になるくらいの強度で行う必要があります。
もっと細かく目安としての数値が欲しいという人は、最大心拍数を活用しましょう。タバタトレーニングでは最大心拍数の90%を目指す必要があります。
どんなに頑張っても最大心拍数の90%もいかない…という人もいるでしょう。それほどハードなトレーニングなのです。そのような人は数値ばかり気にするのではなく、カラダが限界になるようにとにかく集中して行ってみましょう。
※心肺の病気を患ったことがある方、ご親族にいらっしゃる方、体調が優れない状態にこのような激しいトレーニングはオススメできません。体調や気分・病歴と相談しつつ自己責任で実施してください。
高負荷運動の前に、全身の筋肉を十分に伸ばすストレッチを
動作自体はシンプルで短時間のプログラムですが、かなりハードな運動になるため開始前に十分にストレッチをしておきましょう。
特にジャンプ系のプログラムでは後半の疲労により動作が雑になったり、集中力が低下することによってバランスを崩したりなど、ケガが起こりやすくなることが想定されます。
トレーニングを継続して行うためにもウォーミングアップだけでなくクーリングダウンもしっかり行い、ケガのリスクを低下させましょう。
タバタ式トレーニングのプログラム一例
タバタトレーニングには色々なプログラムがあります。その中で今回は代表的なものを紹介します。
バーピー
– バーピーのやり方・フォーム
1.背筋を伸ばし立ちます。
2.しゃがんだ姿勢になり両手を床につけます。
3.両手を床につけたら、腕立ての姿勢になるように脚を伸ばします。この時、両脚を同時に伸ばすように飛び跳ねながら行いましょう。
4.伸ばした脚を一気に元に戻し、2の姿勢に戻ります。
5.カラダを起き上げ、立った姿勢に戻ります。
6.この動作を連続して行います。
強度を高めるためには、4の次に一気に真上にジャンプして元の姿勢に戻るようにするとよいでしょう。
– バーピーの参考フォーム
スクワットジャンプ&回転
– スクワットジャンプ&回転のやり方・フォーム
1.背筋を伸ばし立ちます。足幅は肩幅程度に広げましょう。
2.スクワットのように背中をまっすぐにしたまましゃがみます。動作中、膝がつま先より前に出ないように気をつけましょう。しゃがんだら両手の指先を床につけます。
3.両手指先を床につけたら、一気に真上にジャンプします。この時、空中でカラダを90°回転させます。
4.90°回転し着地したら、そのまましゃがみ2の姿勢を取ります。
5.再び真上にジャンプし、カラダを90°回転させます。
6.この動作を連続して行います。
初心者の場合は回転動作をなくし、スクワットジャンプだけにすると強度が下がります。
– スクワットジャンプ&回転の参考フォーム
マウンテンクライマー
– マウンテンクライマーのやり方・フォーム
1.うつ伏せで両手を床につき、腕立ての姿勢になります。
2.片脚の膝を胸に引き付けるように曲げて、前方に足をつきます。
3.足を蹴ってカラダを浮かせ、空中で左右の脚の位置を入れ替えます。この時、カラダが大きくはずんだり、背中が丸くならないように注意しましょう。体幹部は全く動かさない意識で行います。
4.この動作を連続して行います。
強度を高めるためには、前方に出した足を床につけずに浮かせたまま、リズムよく行うとよいでしょう。
– マウンテンクライマーの参考フォーム
ジャンプホップ&上肢挙上
– ジャンプホップ&上肢挙上のやり方・フォーム
1.片足で立ちます。手は肘を軽く曲げ、カラダの前で構えておきます。
2.その場でタン・タンと2回軽くジャンプします。2回目のジャンプ時に両手を頭上に上げ、手を叩きます。
3.足を変え、反対の足で同じように行います。左右交互に足を変えながら、タン・タン・タン・タンとリズムよく行います。
4.この動作を連続して行います。
強度は低めですが、意外と動作が難しいです…。リズムをとって行うとやりやすいかもしれません。
– ジャンプホップ&上肢挙上の参考フォーム
ジャンプホップ&フロアタッチ
– ジャンプホップ&フロアタッチのやり方・フォーム
1.足を前後に開き立ちます。手は軽く肘を曲げて走る格好のように構えます。
2.前側の足で床を蹴り、ジャンプします。その際に、後側の脚の膝を高く持ち上げると同時に前脚と同側の腕を上に伸ばします。
3.着地したら1の姿勢に戻ります。
4.今度は前側の足を後ろに引いて膝を床につけます。その際に同側の手で床をタッチします。
5.1の姿勢に戻ります。今度は脚を入れ替えて1-4の動作を同じく行います。
6.この動作を左右交互に連続して行います。
前後に大きく体を動かすので、十分なスペースで安全を確認して行いましょう。
– ジャンプホップ&フロアタッチの参考フォーム
※動画無し
ジャンピングサイドキック
– ジャンピングサイドキックのやり方・フォーム
1.片足で立ちます。
2.軸足と反対の脚で横にキックします。
3.同じ軸足のまま、蹴った方向にケンケンで移動します。移動する間もケンケンに合わせてキックを行います。
4.1・2・3・4と移動&キックを行ったら、今度は軸足を入れ替え反対方向でも同様の動作を行います。
5.この動作を左右交互に連続して行います。
片足立ちが続く難しい種目です。体力に自信のある人はチャレンジしてみましょう。
– ジャンピングサイドキックの参考フォーム
※動画無し
スケーターズランジ
– スケーターズランジのやり方・フォーム
1.右足で立ちます。左脚はカラダの後ろに引いた姿勢になり、カラダの前で床に左手をつき支えます。
2.右足で床を蹴り、勢いよく左側にジャンプします。
3.空中で脚を入れ替え、左足で着地します。今度は右脚を後ろに引いた姿勢になり、床に右手をつきます。
4.左足で床を蹴り、勢いよく右側へジャンプします。
5.1の姿勢に戻ります。
6.この動作を左右交互に連続して行います。
ジャンプ動作があり、強度が高い種目です。強度を高く保つには遠くに飛ぶように意識しましょう。
– スケーターズの参考フォーム
シングルレッグスクワット&フロアタッチ
– シングルレッグスクワット&フロアタッチのやり方・フォーム
1.足を横に広げて立ちます。
2.左足で体重を支えしゃがみ込み、右手で左足の前の床をタッチします。この時、体重をかけた左足が動作の中心位置に来ることを覚えておきましょう。
3.体重をかけた左足に力を入れ、カラダを起こします。この時、足の位置を入れ替え左足で立っていたところに右足を置き、左足は左側にずらします。上体を横に動かすのではなく、足だけを左右に動かすイメージです。
4.右足で体重を支えしゃがみ込み、左手で右足の前の床をタッチします。
5.体重をかけた右足に力を入れカラダを起こし、同じように左右の足を入れ替え2に戻ります。
6.この動作を左右交互に連続して行います。
負荷は低めです。リズムよくステップを踏むようにしましょう。
– シングルレッグスクワット&フロアタッチの参考フォーム
※動画無し
ジャンピング・ジャック&シザース
– ジャンピング・ジャック&シザースのやり方・フォーム
1.足をそろえて立ちます。両手は腰に添えておきましょう。
2.その場でジャンプし、足を肩幅くらいまで広げた状態で着地します。続けてジャンプし、元の姿勢に戻ります。足を開いて・閉じてを行って1回とカウントし、この動作を4回行います。
3.今度は、ジャンプしたら足を前後に開き着地します。両手は胸の前で肘を曲げ構えます。続けてジャンプし元の姿勢に戻ります。足を開いて・閉じてを行って1回とカウントします。
4.今度は前後の足を入れ替えて反対側も同様に行います。3-4の動作を4回行います。
5.2-4の流れを連続して行います。
簡単な動作ですが、ジャンプ動作が中心で強度が高い種目です。上体がぶれないように意識して行いましょう。
– ジャンピング・ジャック&シザースの参考フォーム
スクワット&フロントキック
– スクワット&フロントキックのやり方・フォーム
1.足をそろえて立ちます。両手は胸の前で保持し、構えの姿勢になります。
2.両足をそろえてしゃがみ、スクワットの動作を行います。
3.スクワットから元の姿勢に戻ると同時に、片足を前方に上げキックします。
4.元の姿勢に戻ってスクワットを行い、スクワットから元の姿勢に戻ると同時に今度は反対の脚でキックします。
5.この動作を左右交互に連続して行います。
キックする時に足を高く上げることを意識したり、少し飛び上がりながらキックすると強度が高まります。
– スクワット&フロントキックの参考フォーム
3ステップ&膝上げジャンプ
– 3ステップ&膝上げジャンプのやり方・フォーム
1.足をそろえて立ちます。
2.右足を斜め右側に一歩出し、左足を浮かせ片足立ちになります。
3.左足を始め位置につき、元の姿勢に戻り右足も戻します。
4.右足を戻したと同時に今度は左足を斜め左側に一歩出し、右足を浮かせ片足立ちになります。同様に右足を始めの位置につき元の姿勢に戻ります。
5.左右1回ずつ終わって両足をそろえたら、真上にジャンプします。
6.2-5の流れを連続して行います。
切り替えし動作の際に素早く行うように意識すると、強度が高まります。
– 3ステップ&膝上げジャンプの参考フォーム
仰向けキック
-仰向けキックのやり方・フォーム
1.座った姿勢でカラダの後ろで両手を床につきます。両膝を曲げて足の裏を床につけましょう。
2.右足を床から浮かせて膝を伸ばし上に持ち上げたまま、左足を蹴りカラダを浮かせます。
3.空中で脚を入れ替え、左脚を伸ばし右足で着地します。
4.今度は右足で床を蹴り、空中で脚を入れ替えて左足で着地します。
5.この動作を左右交互に連続して行います。
下半身よりもカラダを支える肩や腕、手首などがきつく感じる人も多い種目です。上半身のストレッチを十分に行ってから取り組みましょう。
-仰向けキックの参考フォーム
暗闇フィットネス「b-monster」は究極のエンタメ・有酸素・無酸素・ストレス発散の融合
なかなか自分で運動を組み立てられない人は、外に出かけて楽しく運動するのもアリ!
有酸素運動が良いのは知っているけど、一人じゃ続かないし、強度があっているかもわからない…という人は、専門のジムを検討してみましょう。
最近ブームになっているのが“暗闇フィットネス”です。中でも芸能人も通っていることで話題となったのが、フィットネススタジオ「b-monster」です。ご存知の方もいるのでは?
エクササイズを中心としたエクササイズを行い、45分間で1,000kcalという高いエネルギー消費が可能です。
※1,000kcal、本当かよ!?と思い、レッスン1回分体験してきました。死ぬかと思いました。本当に究極の有酸素&無酸素で疲労困憊まで追い込まれました…。
ただ歩いたり走ったりするのが苦手で、自分でプログラムを組み立てるのが難しい人はこのようなジムに通って運動してみましょう。楽しく運動を継続することができること間違いなしです!
暗闇*爆音の中、パワフルなパフォーマーに煽られながらサンドバックを叩きまくりましょう。
続けられる有酸素運動を、生活の一部に取り入れよう
1週間で終わるキツいプログラムより、1ヶ月、1年続けられる「習慣」にしてしまう
カラダが変化するには時間がかかります。どんなに優れたプログラムでも短期間で効果が現れることはありません。
ハードなプログラムや食事制限によって急激なカラダの変化が現れたとしても、それを維持し続けるのは大変ですし、辞めた途端あっという間に元のカラダに逆戻りしてしまいます。
カラダづくりは長期的に行うものだと認識し、有酸素運動を習慣にするということが大事です。時にはb-monsterのような、エンタメ性もあるスポーツに頼るのもいいでしょう。
週3回、毎朝20分の早歩き散歩の提案
有酸素運動を頑張ろう!という意気込むのはいいのですが、あまり意気込んでしまうと実施できなかったときに罪悪感を感じ、今日くらいいいか…というのが続き結局運動自体をやめてしまうことが多いです。
休日にしっかり有酸素運動を行う!と意気込むよりも、意気込まなくてもできる毎朝20分程度の早歩きウォーキングをこまめに行うことをオススメします。
体力に自信アリ・短期間で身体を作りたいなら週3回のHIITを目標に
普段から筋トレなどを行い運動習慣がついている人は、HIITに挑戦してみましょう。
HIITはハードですが、短時間でエネルギー消費量が高いプログラムです。
効率用短期間でカラダを変えたい体力や心肺機能にに自信のある人や、トレーニングを行う時間が作れないという人はHIITにチャレンジしてみましょう。
まとめ
- 運動は大きく分けて有酸素性運動と無酸素性運動に分けられる
- 有酸素運動は酸素を使いエネルギーを生み出している
- 有酸素運動の効果を高めるキーワードは「朝食前」・「30分以上」・「心拍数」
- 短時間で行うタバタトレーニング・HIITは優れたプログラム
- タバタトレーニングは有酸素性・無酸素性の能力を同時に高める
- まずは習慣づけることが大事 生活の一部として有酸素運動を組み込もう!