大きく丸みを帯びた肩は逆三角形の魅せるカラダに欠かせないパーツです。
ボリュームのある上半身を作り上げるには肩周りにある「三角筋」を鍛えて、肩の筋肉の厚みと広さを増やすのが効果的。
この記事では三角筋を鍛えるエクササイズの一つ、「サイドレイズ」について詳しく解説します。
この記事の目次
「三角筋」とは?筋肉の構造と働き
三角筋とはどのような筋肉でしょうか。三角筋について学んでみましょう。
上半身でもっとも大きい筋体積をもつ筋肉!?
いきなりですが、ここで皆さんに質問です。
上半身の中でもっとも筋体積の大きい筋肉はどこだと思いますか?
大胸筋か広背筋、僧帽筋あたりは大きそうだな…と思う人も多いかもしれませんが、実は上半身でもっとも筋体積が大きいのは三角筋なのです。
三角筋を鍛えて筋量を増やすことで、効果的に上半身を大きくさせることができるのです。
三角筋は前部・中部・後部に分けられる
三角筋は一つの筋肉ですが、前部・中部・後部と分けることができます。それぞれ働きが異なり、エクササイズの方法も変わってきます。
三角筋を全体的に鍛えることで、丸みのあり大きな肩を作ることができます。
今回紹介するサイドレイズは、三角筋の中部をメインに鍛えるエクササイズです。
サイドレイズ系種目で刺激できる筋肉
サイドレイズで鍛えられる筋肉はどこでしょうか。
主働筋:三角筋中部
肩峰から上腕骨にかけて走行しているのが三角筋中部です。肩関節の外転(腕を真横に上げていく動作)で力を発揮します。
協働筋:僧帽筋
後頭部から胸椎までに走行している幅広い筋肉が僧帽筋です。僧帽筋は上部・中部・下部とありそれぞれの働きが異なります。
サイドレイズでは僧帽筋上部を刺激することができます。僧帽筋をすくめてムリをして高重量を上げると三角筋への刺激が相対的に弱くなり、いいサイドレイズではなくなってしまいます。
協働筋:棘上筋
※これの上部
肩甲骨棘上窩から上腕骨の大結節にかけて走行しているのが棘上筋です。画像は棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋とともにまとめて表現しています。これらはローテーターカフ(肩のインナーマッスル)と呼ばれます。
棘上筋も肩関節の外転動作で力を発揮しますが、とくに腕をダランと垂らしたところから動き出す際に力を発揮します。
また、外転の動作中に上腕骨の骨頭を肩甲骨の関節窩からずれないように支える役割を持っている重要な筋肉です。
サイドレイズの動作中、肩関節の動きをスムーズに動かせるよう常に力を発揮しています。
協働筋:前鋸筋
肩甲骨から肋骨にかけて走行している小さな筋肉が前鋸筋です。肩甲骨を外転(外側に広げる)したり、上方回旋する際に力を発揮します。
サイドレイズの種類・フォームの解説
鍛える上でのコツ・ルール・注意点
サイドレイズを行う上での注意点やコツを紹介します。
サイドレイズは低重量・高レップで組み立てる
サイドレイズは単関節運動(一つの関節のみが動く運動、アイソレーション種目ともいう)です。そのため高重量を扱うのが難しいエクササイズ種目です。
高重量×低レップでは、三角筋に効く前に、可動域をフルに動かせなくなってしまい効果的に刺激できません。中重量×中レップから始め、最後は低重量×高レップでしっかり追い込んだ方が効果的です。
ギリギリの高重量を攻めすぎると他の筋肉部位を動員しやすいためそれを避ける
持ち上がるかどうかギリギリの高重量を使うとカラダの反動を使って持ち上げてしまい、逆に動作が楽になってしまう場合があります。
また、僧帽筋などに負荷が逃げてしまい、三角筋に効果的に刺激が入らないということに繋がります。
上級者がチーティングを使って追い込むのならいいのですが、そうでない場合は正しいフォーム・動作で行える重量に設定しましょう。
筋肉が休んでしまうポイントを作らない
ダンベルを下した時にダランと腕を下してしまうと、三角筋に力を入れなくてもダンベルを保持できてしまい負荷がかからなくなります。
効果的に筋肉を刺激するためには、動作中に筋肉が休んでしまうポイントを極力作らないということも重要です。
サイドレイズの場合、ダンベルを下すボトムポジションの位置は:腕が垂直にならず、少し脇を開いた状態(三角筋が硬くなって力を発揮したままのところ)までにし、そこから次の動作に移るようにすると効果的です。
肘への意識・手首の意識
サイドレイズを行う際にダンベルを高く上げようと意識して行っているためか、前腕部だけが高く上がってしまっている人がいますがこれはNGです。三角筋を効果的に鍛えるためには、上腕部がしっかり持ち上がっていなければいけません。そのため、動作はダンベルを持ち上げる意識よりも、肘を持ち上げるような意識で行うと肩に効きやすくなります。
またダンベルを持ち上げた際に、小指側が低くならないに手首の角度も意識すると効果的に三角筋を刺激することができます(小指を上げすぎると肩の痛みの原因になりますので注意)。
このようなポイントは、知っているか知らないかで徐々に差がでてきます。少しでも三角筋に多く刺激が入るように細かいポイントも意識して行いましょう。
サイドレイズのバリエーション
ここでは基本的なサイドレイズから、バリエーション種目までさまざまなサイドレイズのやり方を紹介していきます。
ダンベルサイドレイズ
ダンベルを使って行うベーシックなサイドレイズです。
– やり方の概要
1.ダンベルを両手に持ち立ちます。
2.掌を内側に向け、軽く肘を曲げたままダンベルを持ち上げます。
3.肩の高さまで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
4.この動作を繰り返し行います。
– 効果のある筋肉・部位
三角筋中部・僧帽筋
– 気をつけること、ケガ防止のために
ダンベルを持ち上げる時に肩をすくめないように気をつけながら、しっかり肩の高さまで肘を持ち上げるようにしましょう。
動作中、肘の曲げ伸ばしは行わず、軽く曲げたまま固定して動作を行いましょう。
– 参考動画
シーテッドダンベルサイドレイズ
ベーシックなサイドレイズを座って行う方法です。
– やり方の概要
1.ダンベルを両手に持ってベンチなどに座ります。
2.掌を下に向け、軽く肘を曲げたままダンベルを持ち上げます。
3.肩の高さまで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
4.この動作を繰り返し行います。
– 効果のある筋肉・部位
三角筋中部・僧帽筋
– 気をつけること、ケガ防止のために
立って行うと反動を使いがちですが、座って行うと反動が使えずにストリクトに行うことができます。
元の姿勢に戻るときはダンベルを下しきらず、三角筋の力が抜けないところで止めて次の動作に移りましょう。
– 参考動画
ライイングダンベルサイドレイズ
横向きに寝た姿勢で行うサイドレイズです。
– やり方の概要
1.片手にダンベルを持ちます。ダンベルを持った手が上側になるようにしてベンチに横向きに寝ます。
2.掌を下に向け、カラダの前にダンベルを下していきます。肘は軽く曲げたままで固定しておきましょう。
3.ダンベルを天井方向へ持ち上げていきます。体軸と垂直の位置を目安に持ち上げていきましょう。
4.体軸と垂直の位置まで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
5.この動作を繰り返し行います。
– 効果のある筋肉・部位
三角筋中部
– 気をつけること、ケガ防止のために
動作はあくまでもサイドレイズと同じく、カラダの横からダンベルを持ち上げます。カラダの前から胸を開くように垂直に持ち上げる方法がライイングサイドレイズと紹介されている場合がありますが、カラダの前で持ち上げていく方法は、三角筋後部のエクササイズです。注意しましょう。
ダンベルを持ち上げていく時に角度を高く持ち上げすぎると三角筋への刺激が逃げてしまいます。立った姿勢と同じように肩の高さまでにしておきましょう。
– 参考動画
インクラインダンベルサイドレイズ
インクラインベンチを使って行うサイドレイズです。
– やり方の概要
1.片手にダンベルを持ちます。ダンベルを持った手が上側になるようにしてインクラインベンチに横向きにもたれかかります。インクラインベンチは45度くらいに設定しておきましょう。
2.掌を下に向け、カラダの前にダンベルを下していきます。肘は軽く曲げたままで固定しておきましょう。
3.ダンベルを天井方向へ持ち上げていきます。体軸と垂直の位置を目安に持ち上げていきましょう。
4.体軸と垂直の位置まで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
5.この動作を繰り返し行います。
– 効果のある筋肉・部位
三角筋中部・僧帽筋
– 気をつけること、ケガ防止のために
ライイングダンベルサイドレイズが行いにくい場合は、インクラインベンチを活用してみましょう。
インクラインベンチの角度を変えると刺激が異なります。効果が停滞してきたらベンチの角度を変えて行ってみてください。
ライイングサイドレイズ同様、ダンベルの高く上げ過ぎには注意しましょう。
– 参考動画
徒手サイドレイズ
徒手抵抗で行うサイドレイズです。ダンベルがなくても初心者でも簡単に行えます。
– やり方の概要
1.右肘を90度程度に曲げます。左手は、右腕の手首を上から抑えましょう。
2.左手で下に負荷をかけるように力を入れながら、その力に負けないように右肘を高く持ち上げていきます。
3.肩の高さまで持ち上げたら、左手の力を抜かないようにしたまま元の姿勢に戻ります。
4.この動作を繰り返します。反対側も同様に行いましょう。
– 効果のある筋肉・部位
三角筋中部・僧帽筋
– 気をつけること、ケガ防止のために
両腕に異なる力を入れるため、肩がすくみやすくなります。肩がすくむと三角筋から刺激が逃げてしまいますので注意しましょう。
抵抗の強さによって強度が変わります。抑える方の腕もしっかり力を入れて行いましょう。
– 参考動画
※動画無し
ケーブルサイドレイズ
ケーブルマシンを使ったサイドレイズの方法です。
– やり方の概要
1.ケーブルマシンの横に立ちます。アタッチメントはシングルハンドルにし、一番下にセットしておきましょう。
2.アタッチメントから遠いほうの手でグリップを握り、もう片手はマシンなどに手をついてカラダを安定させます。
3.掌を内側に向け、肘を少し曲げたままグリップを持ち上げます。
4.肩の高さまで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
5.この動作を繰り返し行います。反対側も同様に行いましょう。
– 効果のある筋肉・部位
三角筋中部・僧帽筋
– 気をつけること、ケガ防止のために
ケーブルを使うことで、腕を下した時も負荷がかかったままになり大きな可動範囲で動作を行うことができます。
腕を下した時にもテンションがかかっているように、マシンから少し離れて行うと効果的です。
– 参考動画
チューブサイドレイズ
チューブを使ったサイドレイズの方法です。
– やり方の概要
1.チューブを両手に持ち立ちます。足でチューブの真ん中を踏み、固定します。
2.掌を内側に向け、肘を少し曲げたままチューブを引き上げます。
3.肩の高さまで引き上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
4.この動作を繰り返し行います。
– 効果のある筋肉・部位
三角筋中部・僧帽筋
– 気をつけること、ケガ防止のために
初心者でも手軽に行えるのがチューブを使ったエクササイズです。
チューブを使った場合、引き上げる最初は負荷が少なく引き上げていくにつれて張力により負荷が高まります。肩の高さに引き上げた際に少しキープすることで負荷が高まります。戻した際もダンベルよりも浅くするようにしましょう。
– 参考動画
オーバーヘッドサイドレイズ
頭上までダンベルを持ち上げるサイドレイズです。
– やり方の概要
1.ダンベルを両手に持ち立ちます。
2.掌を内側に向け、軽く肘を曲げたままダンベルを持ち上げます。ダンベルは頭上でくっつけるように上まで持ち上げます。ダンベルを持ち上げる時は肩の高さにきたら掌をひっくり返して掌が天井を向くようにして持ち上げましょう。
3.しっかり頭上まで持ち上げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。下す時も、肩の高さまで来たら掌を返して下向きになるようにして下していきます。
4.この動作を繰り返し行います。
– 効果のある筋肉・部位
三角筋中部・僧帽筋
– 気をつけること、ケガ防止のために
頭上まで持ち上げることで僧帽筋の関与も増えますが、可動域を最大限に使って三角筋を刺激することができます。
重い重量は扱えないので、最後に追い込む目的で行うと最適です。
– 参考動画
サイドレイズを組み込んだのトレーニングメニューの作り方
サイドレイズを組み込んだトレーニングメニューの作り方を紹介します。トレーニングスケジュールを作る際の参考にしてみてください。
多関節運動(コンパウンド種目)を行った後の追い込みに最適
単関節運動であるサイドレイズは、トレーニングの後半に追い込み種目として組み込んだ方が効果的です。
いくつもの関節を動かしながら行う多関節運動、たとえばダンベルショルダープレスなどは高重量を扱うことができるので、三角筋に強い刺激を与えることができます。
先にサイドレイズを行うと、三角筋が疲労し多関節運動で大きな力を発揮することができずに効率が悪くなってしまいます。
まずは大きな力を発揮できる多関節運動で三角筋を疲労させてから、追い込むためにサイドレイズを活用するとよいでしょう。
– 初心者は正しいフォーム・動作を確認しながら
サイドレイズは、初心者でも取り入れやすい種目です。しかし、正しいフォーム・動作ができずに効果的に三角筋中部を刺激できていない場合があります。
ダンベルを持つ手をよりも肘を高く上げる意識をしたり、小指側を下げない意識、腕を上げる高さなど、細かい部分をしっかり行うことで効果も高まります。
鏡を見ながら一つ一つの動作を正確に丁寧に行いましょう。
-中級者はサイドレイズに変化を加えてさまざまなバリエーションを導入しよう
ベーシックなサイドレイズに慣れてきたら、さまざまなバリエーションを取り入れてみましょう。
体勢を変えたりケーブルに変えるだけで刺激が異なります。
三角筋中部に効かせやすい種目を探して限界まで追い込むようにしましょう。
-上級者はフォーストレップ法やドロップセット法を活用して追い込もう
上級者ともなれば、高重量のダンベルでチーティングを使いエキセントリック局面で意識して刺激したり、ドロップセット法やフォーストレップ法などでしっかり追い込むようにしましょう。
いずれも負荷が高くケガのリスクが高まります。肩に痛みを感じるようであればムリせず、重量を落として行いましょう。
まとめ
- 上半身の中でもっとも大きい筋肉は三角筋である
- サイドレイズは三角筋の中部を鍛えるエクササイズである
- サイドレイズはトレーニング後半に組み込み、追い込み種目として活用しよう
- 初心者は正しいフォームや動作を意識して取り組もう
- トレーニングに慣れてきたらさまざまなバリエーションのサイドレイズを試してみよう
- 上級者はフォーストレップ法やドロップセット法を駆使し、限界まで追い込もう