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急激にカラダを変えることができると話題になったことで一躍広まった「糖質制限ダイエット」。

いまや短期間で成果を出すボディメイク専門ジムの多くが糖質制限を取り入れたり、一般の人でも簡単にできるように書籍などが多く販売されるなど、ダイエットの定番となりつつあります。

しかし、糖質制限は単純なダイエットではありません。正しい知識がないと効果が出ないだけでなく、健康を害してしまう場合があります。

今回は糖質制限ダイエットについて詳しく学んでみましょう。

※本記事では、複数の医師が執筆に関わっている「スーパードクターズ! いま、糖質制限がすごい! ケトン体生活のススメ」という書籍を参考にし、補足に用いながら執筆しています。

この記事の目次

糖質制限とは

低糖質ダイエット
糖質制限ダイエットはどのような方法なのでしょうか。

低糖質ダイエットでも筋肉は減らない?

従来の食事制限によるダイエットで一番問題となるのが筋肉の減少です。

摂取カロリーを制限することによって、カラダを動かすエネルギーが不足します。そのため体重は落ちやすいです。しかし体脂肪だけではなく、それ以上に筋肉が減少してしまっていることも多いのです。

一方、糖質制限ダイエットでは筋肉の元となるたんぱく質を多く摂取するため、一般的に言われてきたカロリー制限ダイエットによる最大の問題である筋肉量の減少を抑えることができます。

※筋肉量の減少を完全に抑えられるか、というとそれは難しく、どうしても筋肉量を減らしたくない方には脂質制限ダイエットの手法「除脂肪メソッド」もみていただきたいところです。

ちなみに、ダイエット時は、植物性のたんぱく質である「ソイ」よりも、プロテインで広く流通している「ホエイたんぱく」を摂取すると筋肉量の維持に最適という示唆がある研究が実際にあります。
参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25644344

一部研究結果によると減量ペースは低脂質ダイエットよりもはやい

2003年の研究で、重度の肥満患者132名を対象に、低脂質・低炭水化物での食事でどちらが減量できたか、結果が出ています。

6ヶ月間の試験で低炭水化物群は平均5.8kg(12.8lbs)、低脂肪群は1.9kg(4.2lbs)の減量。その差は統計的にも有意でした。

はじめの2ヶ月で4kg近い減量を達成しています。

参考:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa022637

なぜ低糖質で痩せるのか

糖質を制限することでなぜ痩せるのでしょうか。糖質制限ダイエットのメカニズムを確認しましょう。

エネルギーとして中性脂肪が利用されやすくなる

糖質は主にカラダを動かすエネルギーとして使用されます。そのエネルギー源が制限されると、エネルギー不足を補うために体内に蓄積されている中性脂肪や体脂肪の脂肪分解による「グリセロール」・たんぱく質分解による「アミノ酸」がエネルギーとして使われます。この働きを「糖新生」といいます。

また、中性脂肪を分解するときに肝臓で生成されるのが「ケトン体」です。このケトン体は糖質同様カラダのエネルギー源として働きます。

糖質が摂取できないため、脂肪を分解してエネルギー源となるケトン体をどんどん生み出そうという本来備わっているカラダの仕組みが働くのです。

糖質制限をすることによって、最低限必要とされる分のみ糖新生で生成され、それ以外のエネルギーは脂肪を燃焼させて補うため、みるみるうちに体脂肪が減りやすい、という仕組みです。

血糖値を急激に上昇させない

糖質を摂取すると、血糖値が急上昇します。血糖値が上がることで、それを抑えるためにホルモンの一つ「インスリン」が多く分泌されます。

インスリンは、血液中の糖分を脂肪細胞に取り込むように促す働きを持っているホルモンです。糖質を摂取することで急激に血糖値が上がり、インスリンが多く分泌されることで余った糖分を脂肪に引き込み、体脂肪がどんどん蓄積されてしまうのです。

たんぱく質や脂質は血糖値が上がりにくく、インスリンの分泌を抑えることができるため、体脂肪を蓄積しにくい栄養素ともいえます。

食べてもよい食品

ここでは糖質制限ダイエット中に食べてもよい代表的な食品を紹介します。

●肉類

肉はたんぱく質源としてしっかり摂取しておきたい食品です。基本的には、鶏肉も牛肉も豚肉もその他の肉も制限することなく食べてOKです。

気をつける必要があるのが、ハムやウインナーなどです。加工された物の中には糖質が多く含まれているものがあるので、食べる前に糖質量をしっかりチェックしておくようにしましょう。

●魚介類

肉同様、魚はたんぱく質源としてだけでなく良質な脂質としても積極的に摂取したい食品です。魚の他に貝や海藻などもオススメです。

イワシ・カツオといった青魚は良質な魚油も含まれており特にオススメ。

肉類同様、魚を使ったちくわやはんぺん、かまぼこなどの加工品には糖質が多く含まれています。注意しましょう。

●卵

卵もたんぱく質が豊富に含まれている食品です。

腹持ちがよく栄養バランスもとれているため、糖質制限ダイエット中に活躍してくれる優れた食品です。

●乳製品

チーズやヨーグルトは、たんぱく質やカルシウムを摂取するために必要な食品です。ヨーグルトを食べる時に砂糖を入れてしまうと、糖質がぐっと増えてしまいますので注意が必要です。

牛乳は糖質が多めです。牛乳を多く使用する料理は糖質を多く摂取してしまうことに繋がりますので注意が必要しましょう。

●野菜・きのこ類

野菜の中で糖質が少ないのが、葉物などの緑色の野菜です。ビタミンやミネラル、食物繊維が含まれているので、積極的に食べるようにしましょう。

また、キノコ類も糖質が少なくオススメです。

NGなのはとうもろこし・じゃがいも・サツマイモ・かぼちゃ・ごぼう。地下に生えているものは要注意ですね。後半でも出てきます。

●お酒 ※一部OK

お酒も賢く選ぶことで、飲むことができます。
蒸留酒と呼ばれる焼酎やウイスキー、ブランデーの他、ワインなどは糖質が少なく糖質制限中でも飲んで大丈夫です。

ビールや日本酒などの醸造酒、カクテルや梅酒などは糖質が多く糖質制限ダイエットに適していませんが、糖質オフの商品の場合は、安心して飲むことができます。

控えた方がよい食品

ここでは糖質制限ダイエット中に控えた方がよい代表的な食品を紹介します。

●米・麺類・パン

主食であるこれらの食品は、糖質制限ダイエット中はもちろんNGです。

健康に良いというイメージから、白米→玄米に変えるという人もいるかもしれません。しかし、玄米が糖質を含んでいないわけではありませんので、糖質制限をとことん追求するならは白米も玄米も控えるようにしましょう。

最近では糖質を少なくしたブランパンや糖質オフ麺なども販売されています。糖質制限ダイエット中はできるだけ控えた方がよいのですが、どうしても食べたくなってしまったときは、これらの商品を選ぶようにしましょう。

●芋類

ジャガイモ・サツマイモ・サトイモなど、イモ類は豊富に糖質を含んでいます。

みんな大好きポテトフライやポテトチップスなど、イモ類を使った加工品は驚くほどの糖質量です。糖質制限ダイエット中は絶対に食べないようにしましょう。

●一部の野菜

野菜に糖質が含まれているイメージはないかもしれませんが、ニンジンやカボチャ、玉ねぎ、トウモロコシ、ゴボウなど糖質が多く含まれている野菜は身近にあります。

レンコンなどの根菜類も糖質が多く含まれているため避けた方がよいでしょう。

●果物

健康に良さそうですが、果物には果糖という糖質が含まれており糖質制限中は食べることができません。とくにバナナやリンゴなどはご飯に匹敵するくらいの糖質が含まれています。

どうしてもフルーツが食べたい場合は、イチゴやグレープフルーツなどをオススメします。

●お菓子・スイーツ

糖質の塊である甘いお菓子や米菓類、スイーツはもちろんNGです。

パンなどと同様に低糖質のスイーツが多く販売されています。どうしても我慢できない時は低糖質商品を選ぶようにしましょう。

口寂しいとき、少しおやつ的なものを食べたい時はアーモンドをオススメします。アーモンドは糖質が少ないだけでなく、良質な脂質を摂ることができますからね。

糖質制限のメリット

糖質制限のメリット
ここでは糖質制限のメリットを紹介していきます。

即効性があり劇的にカラダが変化する

糖質制限ダイエットの特徴は、即効性があるということです。スタート時点の体重にもよりますが、1ヶ月も続ければ5~10kgくらい簡単に落ちる人もいます。

もちろん急激な体重減少には注意が必要ですが、目で見える変化はダイエットのモチベーションを高めてくれる大きなポイントです。

筆者の周囲でも多くの人が糖質制限に取り組んでいますが、元々食生活を全く気にせず毎日カロリーオーバー気味の人(毎日飲み会、その後ラーメン!)はジム通いと糖質制限をはじめたことによって2ヶ月で明らかに外見の変化が見られました。10キロkg近く体重を落とせたらしいので、当然でしょう。

満腹感は得られやすい(※個人差アリ)

空腹を我慢しなくていいというのもメリットの一つです。

食べる食品だけ気をつければ満腹になってもいいため、空腹を我慢するダイエットよりもストレスが少なく感じる人も多いのでしょう。

また、たんぱく質や脂質は消化にかかる時間が長く腹持ちもいいため、意外と食事量が少なくて済む場合もあります。

空腹のストレスによってダイエットが続かない人は、一度慣れてしまえば長期的に続けていけるダイエットの方法だと思います。

我慢すべき食べ物の数が、脂質制限よりも少ない

脂質を減らす王道のダイエットに比べ、食べることができる料理・レシピが多いのも糖質制限の嬉しいポイントです。

もし料理の中に糖質が多い食品が入っていたのであれば、それを除いて食べればよいだけで料理全部が食べられないわけではありません。

食べるものを選べるので飽きが少なく、その分ストレスも感じにくくなるでしょう。

※PFCバランス&低脂質食で減量を続けている筆者からしてもこれはよくわかります。

健康の改善にもつながる

糖質制限をすることで、見た目を変えるだけでなく内臓など健康面への影響も大きいと考えられています。

、メタボの解消、がんの予防効果、皮膚病の改善、メンタルトラブルの改善など、心身ともに健康なカラダを作ることにつながるとされています。

糖質制限のデメリット

糖質制限のデメリット
逆に糖質制限にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

慣れるまでは体調が不安定になることも

どんなダイエットもはじめのうちはカラダが環境の変化を感知し、体調が乱れやすくなります。

糖質制限ダイエットの場合、糖質が極端に少なくなる低血糖の影響から頭痛や吐き気、めまい、不安感などの症状が出る場合があります。

慣れてくれば体調も安定してくると思いますが、はじめの段階での体調不良がツラい場合は、制限を少し緩くし、徐々に糖質量を減らしていくようにするとよいでしょう。

初期は頭がぼ~っとすることも

今まで不足なく体内にあった糖質がほとんどなくなることで、脳へで使われるエネルギー源が不足し倦怠感や無気力感、眠気などを引き起こす場合があります。

しかし、糖質制限に慣れていくにつれ、そのような症状もだんだん感じなくなっていくことが多いようです。

食費が高くなりやすい

糖質を制限している分、お肉などを多く食べるようになり、以前より食費がかかるようになってしまった…という人も多くいるようです。

とくにはじめのうちは勝手がわからず、ちょっとお高い糖質制限用の食品を購入してしまったり、必要のないものを買ってしまうなど、費用がかさみがちです。

しかし、食費を安く抑えつつ糖質制限を加速させる食材は沢山あります。たんぱく質が豊富な鶏肉や卵をはじめ、植物性たんぱく質を摂取できる豆腐、食物繊維を摂取できるキノコ類など、賢く食品を選ぶことによって今まで以上に食費を抑えることだってできます。

費用面に関しては、カラダを変える投資の一つとして考えておくとよいでしょう。

糖質制限ブームに乗る各社の商品を使いこなそう

ニチレイ ウーディッシュ
参考:http://wellness.nichirei.co.jp/shop/pages/wodish_lowcarb.aspx
これは一例ですが、食品メーカーやコンビニ各社、糖質制限向きの商品をどんどんリリースしています。

リーズナブルな商品も増えてきているので、ぜひ食卓に取り入れていきたいところです。

どうしてもパンが食べたくなったときはローソンに駆け込むことが増えましたね。ブランパンシリーズを作ってくれてありがとう!ローソン!

便秘

糖質制限をすると、摂取不足になりやすいのが食物繊維です。食物繊維が豊富な野菜には、糖質制限のために控えたい食品が多く、便秘などのお腹の不調が起こる場合があります。

また、今まで以上にお肉を摂取することによって消化に時間がかかり、腸内環境を悪くしてしまうこともあります。

腸内環境を整えるためにも、糖質制限中でも食べても問題ない野菜や海藻類などを積極的に摂取するようにしましょう。

気になるようであれば、水溶性食物繊維「イヌリン」を飲み物に溶かしながら、1日5-10g程度摂取してお腹の調子を観察してみてください。

どういう人が低糖質ダイエット・減量に向いているのか

糖質制限に向いている人
糖質制限にも向いている人・向いていない人がいます。ここでは糖質制限に向いている人のタイプを挙げてみましょう。

体脂肪が多い人はインスリン感受性が悪くなってる可能性があるから向いてるかも

体脂肪が多い人は、食後に血糖値が上がってインスリンが多く分泌されても効きが悪くなっていることがあります。そうすると血糖値はなかなか低下しないばかりか、糖を脂肪に引き込みどんどん体脂肪が蓄積されてしまいます。最悪の場合、糖尿病につながる可能性もあるのです。

そのような特徴の人は内臓脂肪が蓄積されている場合が多いのですが、糖質制限をすることによってインスリン感受性の悪さの原因である内臓脂肪を減らすことができます。

体脂肪率で25%以上ある方は、低脂質食よりもペースはやく体脂肪を落とせる方法だと思います。

職業柄、どうしても外食回数を減らせない人

ランチはほとんど外で食べる方、毎日のように飲み会がある会社員の方も少なくないでしょう。外食がどうしても減らせない人にとって、糖質制限は比較的取り組みやすいダイエットです。

外食での糖質制限食は和食屋や定食屋を選んでご飯を抜けばいい話ですが、外食でカロリー調整しつつ低脂肪のおかずだけを選ぶのはかなり難しい。外食は低脂質ダイエットの大敵なのです。

運動をすることに抵抗感がある人

ダイエットをしたいけど、運動は嫌いで食事制限だけで頑張りたい!という人は少なくないものです。

本当は運動と併用することで健康的に効率よくダイエットを進めることができるのですが、運動をやらなければいけないというストレスでダイエットを中断してしまうのであれば、食事制限によるダイエットをメインで行っていく必要があります。

2017年には、カロリー制限した状態でも、週4日のトレーニングとホエイたんぱく質摂取により筋肉量を維持しつつ体重・体脂肪量を大きく減らした研究結果が発表されています。
参考:https://pdfs.semanticscholar.org/15e2/5c674dfbb07201dd1775d194c08f2c9643b2.pdf

トレーニング・たんぱく質摂取をともに行うことで、糖質制限ダイエットはさらに加速できるという十分な理由になるでしょう。

まとめ

  • 糖質制限は、筋肉量の減少を抑えることができる食事制限ダイエットである
  • 糖質が摂取できないことで、脂肪を分解してカラダを動かすエネルギーを生み出す「糖新生」と「ケトン体」
  • 低糖質食は血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの分泌を抑える効果が高い
  • 食べられる料理が多い糖質制限は、満腹感も得られやすくストレスが少ない
  • はじめのうちは体調が不安定になる可能性も 継続していけば解消できる
  • 体脂肪量が多い人(特に25%以上)は、糖質制限に向いている

興味がある方は、まずゆるやかな糖質カットからはじめてみてはいかがでしょうか。

※補足:飲食店での糖質制限マナーには気をつけたいところ

飲食店でご飯を抜く場合などは、事前にお店の人に「ご飯抜きで」と伝えましょうね。ダイエットが理由とはいえ、全く食べる気がないものを配膳するのはお店の人も気が進まないはず。料理になる前には生産者も関わっているわけです。マナーとして気をつけたいところです。

※トレラブでは、現在メンバーで低脂質ダイエット・糖質制限ダイエットを実践中です。リアルな体験談がそのうち出せると思いますので、ご期待ください!

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training-holic
training-holic
ボディメイク・栄養学を必修の学問として国内に広めることを決意して#トレラブを発起した人。米国パーソナルトレーナー資格のNSCA-CPT合格。2019年にはJBBFメンズフィジーク初挑戦で地方大会3位入賞。2020年には恵比寿・代官山エリアのパーソナル+24時間通い放題のジムを共同創業者としてオープンした。好物は低温調理器で大量に仕込む鶏ハムをいろんな味で食べること。

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