男性ならば誰しも憧れる広くて大きな背中。逆三角形のようなイケてるシルエットを手に入れるためには背中の筋肉の発達が欠かせません。
しかし一概に背中といっても、実はいくつもの筋肉によって構成されています。そこで今回は、大きくて広い背中を手に入れるために欠かせない筋肉の特徴と、オススメのトレーニング方法を徹底的に解説していきます。
この記事を読んで、効率よくカッコイイ背中を手に入れましょう!
この記事の目次
大きい背中を手に入れるために鍛えるべき3つの筋肉!
背中はいくつもの筋肉によって構成されていると説明しましたが、その中でもとくに大切な筋肉を3つ紹介していきます。それぞれの筋肉がどこに付いているか、そして役割までを細かく見ていきましょう。
細かい内容まで覚えるのは面倒かもしれませんが、その筋肉の特徴まで理解することはトレーニングをの効率アップにつながるので覚えておいて損はありません。
逆三角形のシルエット作りに欠かせない!広背筋とは?
まず1つ目の筋肉が、広背筋です。
これは聞いたことがある方も多いかと思いますが、広い背中を作るには欠かせない筋肉です。
広背筋の付着部位
広背筋は、上腕骨から腸骨稜(骨盤付近)まで付着している大きな筋肉です。
そしてこの2点を近づけることにより広背筋が収縮、遠ざけることでストレッチの刺激を与えることができます。
付着部位からもわかるように発達することで脇の下あたりがボコッと盛り上がりを見せ、広い背中を作ることができます。
また、いわゆる逆三角形のシルエットというのは広背筋が発達することでウェストとのギャップが生まれるために手に入れることができます。
広背筋の役割
広背筋の主な役割として、
・肩関節の内転(側方部に挙げた上腕を元に戻す)
・伸展(前方に挙げた上腕を元に戻す)
・内旋(上腕の位置を変えずに親指を内側にひねる)
が挙げられます。
専門的な用語が出てきて少しわかりづらいですが、広背筋の主な役割は『前方にあるものを手前に引っ張ること』と覚えておきましょう。
背中に鬼の顔を作る!大円筋とは?
そして2つ目が、大円筋です。大円筋は広背筋に比べるとマイナーな筋肉ですが、広背筋と共同して動く大切な筋肉です。
よくボディビルダーのように筋肉隆々の背中を『鬼の顔』と表現することがありますが、大円筋は丁度鬼の目に位置しています。
つまり大円筋が発達すると、迫力のある背中を作り上げることができるのです。
大円筋の付着部位
大円筋は上腕骨から肩甲骨の外側縁・下角(肩甲骨下部)に付着しています。
大円筋の役割
大円筋は広背筋と共同して働くため、役割自体も広背筋と同じ肩関節の内転、伸展、内旋です。
鍛えられる種目も広背筋と同じため、広背筋を狙ってトレーニングをしていたら自然と大円筋も発達させることができます。
デコボコした背中を手に入れる!僧帽筋とは?
そして最後3つ目が僧帽(そうぼう)筋です。一般の方はあまり鍛えない部位ではありますが、かっこいい背中を手に入れたいのであれば鍛える価値は十分にあります。
僧帽筋の付着部位
僧帽筋は首の下あたりから胸椎まで付着している大きな筋肉です。
かなり大きな面積を有しているため、僧帽筋は上部・中部・下部の3つに分類されます。
僧帽筋の役割
僧帽筋は部位によってそれぞれ役割は違いますが、主に肩甲骨の動きに関与しています。肩甲骨を挙上(上に挙げる)、下制(下に押しさげる)、内転(内側に寄せる)することで刺激を与えることができます。
バランスのとれたカッコイイ背中を作るためには、全体を鍛える必要がある
広背筋は発達させることで背中自体の面積を増やすことができるため、どちらかというと広い背中を作り上げるのに必要な筋肉です。
一方で大円筋や僧帽筋は、背中の厚みを持たせるのに効果的です。
広背筋のみを鍛えても逆三角形のシルエットが強調された広い背中を作ることは可能ですが、薄くてバランスの悪い背中となってしまいます。
僧帽筋や大円筋もしっかりと鍛えることでボコボコとした厚みのある背中を手に入れることができるので、背中のトレーニングではバランスよく全面を鍛えるようにしてください。
POINT
・広背筋が発達すると→広くて逆三角形を強調した背中が手に入る
・大円筋、僧帽筋が発達すると→デコボコした厚い背中が手に入る
効率よく広い背中を手に入れるためには、ジムに通おう!
近年のフィットネスブームに伴い、自分の体重を利用した自重トレーニングやダンベルなどを買ってきて自宅でトレーニングを行う方法も流行っています。
運動不足解消やストレッチ目的であれば構いませんが、
- 大きくて広い背中を手に入れたい
- 背中をシェイプアップしたい
と思っているのであればジムに通いましょう。
自宅トレーニングではなくジムに通うべき理由を2つ紹介します。
自宅トレーニングでは強い負荷をかけられない
まず1点目が、自宅トレーニングでは強い負荷をかけられないという点です。
先ほど説明したように、背中はとても大きな筋肉のためパワーを発揮することができます。
そして基本的に筋肥大を行うために効果的なトレーニングは、自分がギリギリ扱える重量で8~12回を最低3セット以上行うというのがセオリーとされています。
しかし、自宅でトレーニングを行う場合は背中に対して強い負荷を与えることができません。つまり、自宅でのトレーニングで背中を鍛えるのは非効率的なのです。
また、背中の筋肉を鍛えるために必要なのは“引っ張る動作”です。
大胸筋や腹筋であれば自宅でもある程度のメニューを組めますが、自宅では“引っ張る動作”ができる種目が限られています。
さまざまな観点から見ても、そもそも自宅で背中を鍛えるのは難しいということがいえます。
公園でも懸垂等はできるが、バリエーションが限られてしまう
背中を鍛える際にオススメなチンニングという種目があります。
これはいわゆる懸垂のことです。
たしかに、公園などの鉄棒を使用すれば懸垂を行うことも可能です。
しかし、背中は大きな面積のためさまざまな角度から刺激を与える必要があります。
懸垂ばかりしていては、いずれ体が刺激に慣れてしまって停滞期が訪れてしまいます。
ジムに行けばチンニングはもちろんできますし、それ以外に背中を鍛えるためにたくさんのマシンが用意されています。
そのため、効率良く背中を鍛えたいならばジムに通いましょう。
自宅は背中を鍛えるのに向かない理由
①強度が足りない
②バリエーションが少ない
自宅でできる背筋のトレーニングメニュー
効率良く背中を鍛えるためにはジムに通うべきと説明してきましたが、諸事情によりどうしてもジムに行けないという方もいるかと思います。
そこで、自宅でもできる背中を鍛えるメニューを2つ紹介していきます。
①タオルを使ったラットプルダウン
ラットプルダウンとは、重りを上から下に向かって引きつけることで背中の筋肉を鍛えていく種目です。
通常はジムにあるマシンを利用して行うのですが、タオルで代用することで自宅でも鍛えることができます。
タオルを使ったラットプルダウンの正しいフォーム
タオルを使ったラットプルダウンの正しいフォームを解説していきます。
- 長めのタオルを用意し、肩幅よりも少し広い手幅で握ります。
- タオルをピンと張った状態で頭上まで持ち上げます。
※ここがスタートポジションです。 - タオルが緩まないようにしながら、首の付け根までタオルを下ろします。
- 下ろしたところで広背筋の収縮を感じたら、再度頭上まで戻していきます。
タオルを使ったラットプルダウンのポイントと注意点
タオルを使ったラットプルダウンを行う際のポイントと注意点を3つ紹介していきます。
①常にタオルを引っ張り続ける
動作中にタオルが緩んでしまうと、広背筋からも負荷が抜けやすくなってしまいます。
常に左右に引っ張り続けることを意識しましょう。
②肩甲骨の動きを意識
タオルを首の後ろに下げ切った際に、肩甲骨が内転(内側に寄る動作)することを意識しましょう。肩甲骨が関与することで、広背筋だけではなく僧帽筋も鍛えることができます。
③腰を反らない
動作中に腰を反ってしまうと、腰痛のリスクが高まってしまいます。
お腹周りにしっかりと力を入れて上体を固定し、極端に腰を反らないように注意してください。
②ペットボトルを利用したベントオーバーローイング
続いて、ローイングいう種目を紹介します。
ローイングとは“引く”という意味のため、ペットボトルなどの重りを体の前から後ろに引くことで広背筋や僧帽筋を鍛えていきます。
ペットボトルを利用したベントオーバーローイングの正しいフォーム
ペットボトルを利用したベントオーバーローイングの正しいフォームを解説していきます。
- 水の入った2リットルペットボトルを用意します。
※ダンベルが自宅にあれば、そちらを利用しましょう。 - ペットボトルを両手に持ち、前かがみになります。
※この時、しっかりと胸を張って背中が丸まらないようにしましょう。 - 肘を引くようにして、ペットボトルを引きつけていきます。
- 肘を引ききって背中の収縮を感じたら、ゆっくりと戻していきます。
- 肘が伸びきる直前で再度切り返して引いていきましょう。
ペットボトルを利用したベントオーバーローイングのポイントと注意点
ペットボトルを利用したベントオーバーローイングのポイントと注意点を3つ紹介していきます。
①ペットボトルではなく肘を引くようにする
ロウイングで背中に効かせるコツは、引ききった際に広背筋の起始(上腕骨)と停止(骨盤付近)をもっとも近づけることです。
この2点を近づけることにより、広背筋の最大収縮が起こります。
そのためペットボトルを引く意識で行うよりも、肘を骨盤あたりに近づけるようにして引くと効かせやすくなります。
②猫背にならない
動作中に背中が丸まってしまうと、広背筋から負荷が抜けてしまいます。
常に胸を張るよう意識しましょう。
③片手ずつ行う
広背筋に効いている感じがわからない場合は、片手づつ行うことをオススメします。
その場合は片手を壁につき、上体を少し前傾させた状態でローイングを行いましょう。
片手ずつ行うことでより広背筋への意識がしやすくなり、壁に体重を預けられるため腰への負担も軽減します。
自宅でできる背筋トレーニング2選
①タオルを利用したラットプルダウン
②ペットボトルを利用したベントオーバーローイング
※背中を鍛えることはできますが、どちらも負荷が弱いためできるならばジムへ通いましょう。
広い背中を手に入れるためにオススメのトレーニングメニュー
かっこいい背中を手に入れるためには、満遍なく全体的に鍛える必要があると説明しました。そこでまずは、主に広い背中を手に入れるためにオススメな種目を3つ紹介していきます。
どれも背中のトレーニングでは基本的な種目なため、練習を繰り返してマスターしましょう。
①最強の自重トレーニング!チンニングとは?
まずはチンニング(懸垂)から紹介していきます。
チンニングはよく上腕二頭筋を鍛える種目だと勘違いされていることが多いですが、実は背中をメインで鍛えていく種目です。
そしてチンニングは自重トレーニングの中でも高強度のトレーニングであり、広い背中を手に入れるためには不可欠な種目です。
チンニングの正しいやり方
まずはチンニングの正しいやり方から説明していきます。
- 手幅を肩幅より少し広くセット(肩幅の約1.2倍)し、オーバーハンドグリップ(順手)でチンニンスタンドを握ります。
※この時、グリップは親指を巻かないサムレスグリップにしましょう。 - 肩甲骨を下げるようにしてしっかりと胸を張ります。
- その状態をキープしたまま身体を浮かし、お尻の下で軽く足を組みます。
※ここがスタートポジションです。 - 胸をバーに近づけるようにして、上体を持ち上げていきます。
- 広背筋の収縮を感じたら同じ軌道でゆっくりと上体を戻していき、肘が伸びきる直前で再度切り返します。
チンニングのポイントと注意点
チンニングを行う際のポイントと注意点を3つ紹介していきます。
①小指側に力を入れる
チンニングを行う際は、親指を巻かないサムレスグリップを推奨してきました。
これは動作中に、小指側に力を入れやすくするためです。
小指側に力を入れることにより肩関節が外旋し、広背筋に力が入りやすくなります。
また小指側に走っている神経が広背筋とも繋がっているため、背中に効いている感覚も掴みやすいというメリットもあります。
逆に親指側に力を入れてしまうと広背筋にうまく効かせられないため、動作中は常に小指側に力を入れることを意識しましょう。
②肩甲骨を下に下げる
チンニング中は肩甲骨を下制(下に下げる)させた状態をキープしましょう。
なぜなら、肩甲骨が下制することにより広背筋へと負荷を乗せることができるからです。
肩甲骨が下がっていない状態でチンニングを行っても、僧帽筋に負荷が抜けてしまいます。肩甲骨を下制させるコツとしては、しっかりと胸を張ることです。
胸を上に突き出すようにすると、人体の構造上自然と肩甲骨を下制させることができます。
POINT
先ほど説明した肩関節の外旋(小指側に力をいれる)と下制は、チンニングの中でもとくに意識すべきポイントです。
③反動を使わない
チンニング中は、なるべく反動を使わないようにしましょう。反動を使って体を上下させても、それは広背筋のトレーニングにはなりません。
あえて反動を使ってネガティブ動作を耐えるという方法もありますが、これは上級者向けのテクニックです。
まずは反動を使わずストリクトに動作ができてから挑戦しましょう。反動を使わないようにするために、動作中はお尻の下で足を組む(重ね合せる)ようにしましょう。
反動を使ってしまう原因は、下半身が振り子のように動いてしまうからです。
足を組むことで下半身の動きを封じることにより、自然と反動が使えないようになります。また、チンニングは自重トレーニングの中でも強度の高い種目です。
トレーニング上級者でさえも、自重で10回×3セットを行うと広背筋がパンパンになります。そのため、最初は反動を使わずには上体を上げることができないかもしれません。
その場合はアシスト付きのチンニングマシンを利用するか、次に紹介するラットプルダウンで筋力をつけてから挑戦しましょう。
②初心者でも背中に効かせやすい!ラットプルダウンとは?
続いて、広背筋の人気種目であるラットプルダウンを紹介していきます。
ラットプルダウンで鍛えられる部位は基本的にチンニングと同じですが、マシンに座って行うため初心者の方でも背中に効かせやすい種目です。
ラットプルダウンの正しいフォーム
まずはラットプルダウンの正しいフォームから解説していきます。
※ラットプルダウンはバーを身体の正面に下ろすフロントラットプルダウンと首の後ろに下ろすバックラットプルダウン(ビハインドネック)がありますが、今回はフロントラットプルダウンのフォーム解説を行っていきます。
- マシンに座り、下半身が浮かないようにパットで太ももを固定します。
- バーを肩幅より少し広く握ります。
※握り方は、チンニング同様オーバーハンドのサムレスグリップです。 - 小指側に力を入れ、肩甲骨を下制させてしっかりと胸を張ります。この時、上体は少しだけ後ろに傾けましょう。※ここがスタートポジションです。
- その状態をキープしたまま、バーを鎖骨のあたりまで下ろします。
※この時、広背筋の収縮を意識しましょう。 - ゆっくりとバーを戻していき、肘が伸びきる直前(重りがガシャンと着く前)に切り返していきます。
ラットプルダウンのポイントと注意点
ラットプルダウンを行う際のポイントと注意点を3点紹介します。
①肘を腰に近づけるようにしてバーを下ろす
ラットプルダウンを行う際は、バーを下ろす際に肘を腰に近づけるように意識しましょう。こうすることで広背筋の起始(上腕骨)と停止(腸骨稜)が近づき、収縮しやすくなります。
チンニングでは自分の体を持ち上げる必要があったため慣れるまでは収縮感を得づらいですが、ラットプルダウンではバーを近づけるだけなので広背筋のマッスルコントロールがしやすくなります。
毎回フィニッシュポジション(バーを鎖骨のあたりに下ろしたところ)で広背筋の収縮を感じてから戻していきましょう。
②肩をすくめない
ラットプルダウンでありがちなのが、引く際や戻す際に肩をすくめてしまうことです。これはチンニングの際に説明した肩甲骨の下制ができていない状態です。
肩をすくめてしまうと広背筋ではなく僧帽筋へと負荷が抜けてしまいます。
肩甲骨の下制は慣れるまでは難しいので練習が必要ですが、ラットプルダウンのマシンでは重量設定も細かくできるのでまずは軽い重さで広背筋に効かせる練習から行いましょう。
③肘が伸びきるまで戻さない
ラットプルダウンでは、肘が伸びきる直前で切り返して引いていきます。なぜなら、肘が伸びきってしまうと広背筋から負荷が抜けてしまうからです。
また肘が伸びた状態から曲げる際の初動は、広背筋ではなく上腕二頭筋の関与が高まってしまいます。そのため常に肘が軽く曲がった状態、広背筋に負荷を乗せ続けることを意識しましょう。
③比較的高重量を扱いやすい!ベントオーバーローイングとは?
ベントオーバーローイングとは、前傾姿勢を保った状態でバーベルを引き寄せていく種目です。ベントオーバーローイングではフォームやグリップによって鍛えられる部位が変わります。
ここでは、広背筋をターゲットにしたフォームの解説をしていきます。
ベントオーバーローイングの正しいフォーム
まずはベントオーバーローイングの正しいフォームから解説していきます。
- バーベルを肩幅を目安にして握ります。
※この時、グリップは順手(オーバーハンドグリップ)にします。 - 足を腰幅に開き膝を軽く曲げ、しっかりと胸を張ります。
- お尻を後ろに突き出すようにして、上体を前傾(約45度)させます。
※この時膝が前に出過ぎないようにし、スネが垂直になるようにします。 - 腹圧をしっかりとかけ、息を吐きながらバーベルを足の付け根付近(おへその少し下)めがけて引いていきます。
- 広背筋の収縮を感じたら、ゆっくりとバーベルを戻していきます。
- 肘が抜けきる直前で再度切り返していきます。
ベントオーバーローイングのポイントと注意点
ベントオーバーローイングを行う際のポイントと注意点を3つ紹介します。
①背中を丸めない
ベントオーバーローイングを行う際に、背中が丸まらないようにしましょう。背中が丸まってしまうと広背筋から負荷が抜け、さらに腰を痛める原因となってしまいます。
背中を丸めないようにするためには、ハムストリングス(モモ裏)と大臀筋(お尻)で上体を支える必要があります。
前傾姿勢をとる際に上体を倒すのではなく股関節の屈曲、つまりお尻を後ろに引くようにして上体を曲げましょう。
そうすることで自然とハムストリングスと大臀筋にテンションがかかり、上体を保持しやすくなります。
また、高重量を扱う場合は腹圧を高めるためにトレーニングベルトを利用することを推奨します。
②可動域を広く取るため上体をしっかり倒す
ベントオーバーローイングで自然に上体を前傾姿勢するためには、ハムストリングスと大臀筋が重要だと説明してきました。
そしてこの時、上体の角度は45度を目安にしっかりと倒すことを意識しましょう。
上体が少ししか倒れていないと、その分可動域が狭くなってしまいます。
また最初はしっかりと前傾していても、徐々に上体が上がってきてしまうことがあります。最初にフォームを固めたら、最後までその姿勢を維持するよう意識してください。
③広背筋を狙う場合はバーベルを足の付け根に引く
ベントオーバーローイングでは、バーベルを引く位置によって鍛えられる部位が変わってきます。広背筋を鍛えるためには、足の付け根を目安に引いていきましょう。
これは広背筋の役割である肩関節の伸展動作(前方に挙げた腕を戻す動き)が行われるためです。
ちなみにバーベルを引く位置をみぞおちを目安にすると、肩甲骨の内転(肩甲骨を寄せること)が行われ、僧帽筋がメインに関与します。
これはどちらが正解というわけではなく、狙いたい部位によって引く位置を変化させましょう。(ここでは広い背中を手に入れるため広背筋を狙った方法を紹介しています)
またグリップをアンダーハンドグリップにしたり、スミスマシンを利用するなどの方法もあります。いろいろ試し、効かせやすいやり方を見つけましょう。
POINT
ベントオーバーローイングで重要なのは、前傾姿勢を固定すること。
そして前傾姿勢を保つために、ハムストリングスと大臀筋へテンションをかけることを意識!
デコボコした厚い背中を手に入れるためにオススメのトレーニングメニュー
続いて、厚い背中を手に入れるためにオススメな種目を3つ紹介していきます。
デコボコした男らしい背中を手に入れるためには、広背筋だけではなく大円筋や僧帽筋の発達が欠かせません。
①可動域を広く取れて背中に集中しやすい!ワンハンドローイングとは?
ワンハンドロウイングとは、ベントオーバーローイングの片手バージョンです。
片手ずつ行うため背中への意識がしやすくなり、さらに可動域も広く出せるというメリットがあります。
ワンハンドーローイングの正しいフォーム
まずはワンハンドローイングの正しいフォームから解説していきます。
- フラットベンチに片手片膝をつき、もう片方の手でダンベルを握ります。この時、ベンチに乗せていない方の足は肩幅を目安にして地面に着けます。
- しっかりと胸を張り、背中が丸まらないようにします。
※この時、ダンベルを持っている方の肩甲骨を下げることをイメージしましょう。 - 肘を腰に近づけるようにして、ダンベルを持ち上げていきます。ダンベルの軌道は弧を描くよう意識します。
- 広背筋の収縮を感じたら、同じ軌道でダンベルを戻していきます。この時、広背筋にストレッチがかかっていることを意識しましょう。
ワンハンドローイングのポイントと注意点
続いて、ワンハンドローイングを行う際のポイントと注意点を3つ紹介します。
①背中が丸まらないようにする
背中が丸まっている場合は、ベントオーバーローイング同様に筋肉から負荷が抜けてしまいます。しっかりと胸を張り、どの角度から見ても背中が一直線になるようにしましょう。
また、ベンチに乗せていない方の足は足幅が肩幅になるようにして開き、しっかりと体を支えましょう。
②ダンベルを引く際に骨盤を回旋させない
ワンハンドローイングでは可動域が広くなる反面、ダンベルを引く際に半身状態(骨盤が回旋した状態)になりやすくなってしまいます。
動作中は常に骨盤から背中にかけてが地面と平行になっていることを意識し、広背筋から負荷が抜けないように注意しましょう。
③ダンベルではなく、肘を腰に近づける意識で引く
広背筋は、上腕骨から骨盤付近に付着している筋肉なので、この2点を近づけることで収縮させることができます。
そして、肘を腰に近づけるように動作を行うと自然に2点の距離が近づき収縮感を得やすくなります。ダンベルを引こうとすると広背筋への意識が薄れてしまうため、肘を腰に近づける意識で動作を行いましょう。
②ケーブルを利用するため背中に負荷を乗せやすい!シーテッドローイングとは?
シーテッドローイングとは、座った状態で前から重りを引くトレーニングです。
シーテッドローイングにはマシンを利用したものとケーブルで行うものがありますが、今回はケーブルで行うタイプを紹介していきます。
シーテッドローイングの正しいフォーム
まずはシーテッドローイングの正しいフォームから解説していきます。
- 両足をフットプレートに乗せ、グリップを握ります。
※この時、膝が軽く曲げる位置にお尻をセットします。 - 骨盤を前傾させるようにし、しっかりと胸を張ります。
- 肩甲骨を下制、上体を固定した状態でグリップをおへそめがけて引いていきます。
※上体の角度は垂直よりも少しだけ後ろに倒すことをイメージします。 - 肘が体よりも後ろに来るまで引き、広背筋を収縮させます。
※重りを引く際に肩がすくまないように注意してください。 - ゆっくりと重りを戻していき、肘が伸びきる直前で切り返していきます。
シーテッドローイングのポイントと注意点
続いて、シーテッドローイングを行う際のポイントと注意点を3つ紹介していきます。
①背中が丸まらないようにする
背中の種目に共通することですが、シーテッドローイングの動作中は背中が丸まらないように注意しましょう。背中が丸まってしまうと背中から負荷が抜けてしまい、効果が半減してしまいます。
またとくに引いた後の重りを戻す際に背中が丸まりがちなので、十分注意しましょう。
②脇を閉じる
シーテッドローイングでは、重りを引く際に脇を閉じることを意識してください。
脇が開いた状態で重りを引いてしまうと広背筋よりも上腕二頭筋の関与が高くなり、腕が疲れてしまいます。
脇を閉じて小指側に力を入れ、背中で引くイメージで動作を行いましょう。
③反動を使わない
シーテッドローイングでは、上体の反動を使わないようにしてください。
反動を使って重りを引いても、広背筋は使われていません。
上体は最初の段階でフォームを固め、動作中はその角度が変わらないように気をつけてください。
また、上体の角度は垂直がいいとも言われていますが、垂直の状態で行うと肩がすくみやすくなってしまいます。そのため上体を気持ち垂直よりも後ろに下げ、胸を張って肩甲骨を下げた上で動作を行いましょう。
③背中の種目でもっとも高重量を扱える!ハーフデッドリフトとは?
ハーフデッドリフトとは、ビッグ3の一つであるデッドリフトの可動域を制限した種目です。
背中の種目の中ではトップクラスに高重量を扱うことができ、広背筋や僧帽筋だけではなく脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)といったインナーマッスルなどたくさんの筋肉が動員されるというメリットがあります。
しかしその反面、間違ったフォームで行うと怪我のリスクも高まってしまいます。まずは軽い重量でフォームを固めてから徐々に重量を上げていきましょう。
ハーフデッドリフトの正しいフォーム
まずはハーフデッドリフトの正しいフォームから解説していきます。
- セーフティバーを膝上にセットし、バーベルを肩幅の広さで握ります。
- なるべくバーベルに近づいてからラックアップをし、少し下がります。
- 足を肩幅に開いてしっかりと胸を張り、肩甲骨を下げます。
※この状態がスタートポジションです。 - 広背筋にテンションをかけた状態で上体を倒していき、バーベルがセーフティバーに当たる直前で切り返します。
- また上体を上げていき、胸を張って広背筋の収縮を意識します。
ハーフデッドリフトのポイントと注意点
ハーフデッドリフトを行う上でのポイントと注意点を3つ紹介します。
①絶対に猫背にならない
今まで背中の種目では、猫背になると広背筋に効かせることができないから胸を張るようにと説明してきました。
ハーフサイドデッドリフトでは、とくにこの点は気をつけましょう。なぜなら、高重量を扱いやすい分腰への負担も大きくなるからです。
腰は一度怪我してしまうと他の種目にも悪影響を及ぼすため、ハーフデッドリフトを行う際は十分注意してください。また、できるだけトレーニングベルトを着用した上でのトレーニングを推奨します。
②常に広背筋にテンションをかけ続ける
ハーフデッドリフトではバーベルをラックアップしてフォームを固めた瞬間からトレーニングが終わるまで、常に広背筋へと力を入れ続けましょう。
そうすることで効率的に背中を鍛えられ、怪我のリスクも抑えることができます。
広背筋にテンションをかけ続けるコツとしては、フォームを固める際にバーベルを内側に絞るように力を入れることです。その際に脇を閉じるようにして力を入れると、広背筋へと自然に力が入りやすくなります。
わかりにくい場合は、下記の動画を参考にしてみてください。
※動画内5分30秒〜6分10秒を参照
③フィニッシュポジションで肩甲骨を寄せる
ハーフデッドリフトでは、前傾姿勢からバーベルを持ち上げた際に背中全体を収縮することができます。そしてより強く収縮を得るために、上体を上げると同時に肩甲骨を寄せることを意識してください。
ただし、フィニッシュポジションで腰を反りすぎないようにだけ注意しましょう。
まとめ
今回は効率よくカッコイイ背中を作るために欠かせない筋肉と、オススメのトレーニングメニューを解説してきました。
最後に、重要な点をまとめておきますのでぜひ参考にしてみてください。
広い背中を手に入れるのに欠かせない部位
- 広背筋→上腕骨から腸骨稜(骨盤付近)まで付着
デコボコした厚い背中を手に入れるために欠かせない部位
- 大円筋→上腕骨から肩甲骨の外側縁・下角(肩甲骨の下の方)に付着
- 僧帽筋→首の下あたりから胸椎まで付着(上部・中部・下部に分けられる)
効率よく背中を鍛えたいならジムに通うべき2つの理由
- 自宅トレーニングでは強度が足りない
- 公園を利用したとしてもバリエーションが少ない
自宅で背中を鍛えるのにオススメな2つのトレーニング
- タオルを利用したラットプルダウン
- ペットボトル(ダンベル)を利用したベントオーバーローイング
広い背中を手に入れるためにオススメな3つのトレーニング
- チンニング(懸垂)
- ラットプルダウン
- ベントオーバーローイング
デコボコした厚い背中を手に入れるためにオススメな3つのトレーニング
- ワンハンドローイング
- シーテッドローイング
- ハーフデッドリフト ※怪我に注意
今まで説明してきたように、背中は広くて大きな筋肉のためさまざまな角度から鍛える必要があります。今回紹介したトレーニングをマスターし、大きくて広い理想の背中を手に入れましょう!